木を使うことは 森を守ること

天然の森と人工の森

森には大きく分けて、天然の森と人工の森があります。
天然の森は、殆んど人の手が入らず自然の力によって芽を出し 育ち できた森のことで、沢山の種類の木が生えています。
一方、人工の森では、人が苗を植え 手入れすることで木が健全に育ちます。同じ種類の木ばかりが整列して生えています。

「もりとわが使う間伐材ってなに?」

人工林では、初めにたくさんの苗を密集させて植えます。その方が幹がまっすぐに早く伸びるので効率よく材料にすることができるからです。しかし成長するにつれて木と木の間隔が狭くなるために、太陽の光が届かず、細くひ弱な木が増えてしまいます。

そこで必要な作業が「間引く」=「間伐」です。密集した木々の中から、成長の遅れた細い木や光の取り合いに負けて弱っている木を「間引く」作業を「間伐」と呼び、間引かれた木を「間伐材」と呼びます。


「間伐するとどうなるの?」

適切な間伐がされている森では、太陽の光が地面にしっかりと届くので、根を強く張り、幹も太く育ちます。また、地表にも多様な植物が育ち、虫や動物も喜びます。


しかし今、日本では間伐の行き届いていない

暗く荒れた森が非常に多くあります

「使うほどに 森が育つ!」

森が抱える問題は間伐の遅れや森で働く人が減ってしまったこと、

私たちが日本の木を使わなくなってしまったこと・・・。

昔の人の暮らしはもっと森とつながっていました。

今の暮らしの中で、少しの小さなものでも「日本の木」で出来たものを取入れたり、「間伐材」を使う量が増えることで、森で働く人や木を活かす仕事に関わる人を元気づけることができます。

それは、森のチカラを取り戻すことにもつながってゆきます。


日本の木を使うことは、森を守ることなのです


世界の森のこと 日本の森のこと

【世界の森のこと】

この半世紀の間に世界の原生林が次々と姿を消しています。経済的な効率を優先するあまり、環境に配慮せず木材が過剰に利用されているため、世界各地で破壊的な森林伐採が行われています。熱帯雨林では、自然の恵みを得ながら、ゆったりとした時間の中で何百年も暮らしてきた現地の人たちの生活が森をす奪われたことで大きく変わってしまっています。

知っていますか⁉ 世界の木材流通の半分に日本が関わっています

なくなった世界の原生林の半分は日本人が使っているのです。日本人の暮らしが、世界の原生林やそこで暮らす人たちの伝統的な生活を壊しているとも言えます。


【日本の森のこと】

「日本には資源がない」というけれど、本当でしょうか?

実は日本の面積における森林率はフィンランドに次ぎ世界第2位

国土の約70%も森が占めている森林資源豊かな国です!


人工林が多いのは、、、

今から約50年前、国の政策も後押しし一斉に大量の植林がされました。子孫への財産として、また建物や家具に使うためでした。しかし、海外から安い木材を輸入するようになり、日本の木は使われなくなりました。森は今、植えられたままの木々が使われず、手入れもされず、狭くギュウギュウの状態です。幹は太れず、根をしっかりとはれないまま、太陽の光を求めて上ばかりにヒョロヒョロと伸びて危険です。細く頼りない木は、強風や雪の重み、豪雨の際に災害をより大きくしてしまうケースもあります。


わたしたちに できること

日本にある森林資源に目を向けよう!

消費者の意識が変わってゆくことは日本の森もそこで働く人たちも元気づけます。

同時に、世界の森林破壊を止め、そこに暮らす人たちの生活を取り戻すことにもつながります。

森のはたらき あれこれ

◆二酸化炭素を吸収、地球温暖化を防ぐ

人は多くの二酸化炭素を排出します。木は成長するときにその二酸化炭素をどんどん吸収(光合成)してくれます。手入れのされていない人工林では吸収能力が低下します。間伐などの適切な手入れを行うことで木が元気になり、二酸化炭素の吸収力も高まります。

◆きれいな水をつくる

森の土は雨水の約35%を地下水として蓄えるといわれています。その水は大小さまざまな土の隙間を通る内に汚れを取り除かれ、ゆっくりと時間をかけ清らかな水となって川に流れ出ます。豊かな森から流れる水は栄養も豊富です。プランクトンや海藻の成長も助け、魚も集まる豊かな海へとつながります。

◆土砂崩れを防ぐ

土の中に張り巡らされた木の根は、斜面の土をしっかりつなぎとめる力があり、大雨が降っても崩れにくくなっています。

◆洪水を防ぐ

森の地面は落葉や枝や植物で覆われていて、生物がそれらをやわらかい土に分解してくれています。やわらかくふかふかの土はダムの様に水を蓄えます。荒れた人工林では雨水が森の土に浸み込むことなく地表を流れ、土砂を押し流し、一気に川が増水し洪水につながります。


◆森は生き物の住みか

植物・虫・鳥・動物・微生物、、、たくさんの生き物が森にはいます。身を隠したり、巣を作ったり、子育てをしたり。葉や実、樹皮、樹液などの食べ物も豊富です。木の側にも良いことがあります。木の実を食べる鳥が糞と一緒に種を遠くに運んでくれています。ハチや蝶は花粉を運びます。ミミズなどの土の中の生き物は、落葉を細かく砕いて養分を含んだ土にしてくれます。

たくさんの生き物が、お互いに作用し利用し合って生きています。